それは突然始まった。
ケビタ水槽から騒々しい物音が聞こえてきて慌てて駆け付けると、
ケビタが水槽のふちにお手々を掛けて、今にも乗り越えそうになってる!
写真を撮ろうとあたふたしてる内に、バランスを崩して引っくり返っちゃった!
あ~あ、無茶するから。大丈夫?
水中に戻すと、ひたすらガラス面に向かってバシャバシャと泳いでは浮き島に登り、
壁をよじ登ろうとしてはバランスを崩し水中へドボン!を繰り返している。
「これはひょっとして・・・・・・お卵!?」
後肢の付け根をそうっと触ってみると、ゴロゴロした硬い感触が!!
「キャーッ!卵あるじゃ~~~~~ん!」
ゴハンの後もいつもと変わらず「こんなんで足りるか~っ!」と
ガラス面に向かってガツンガツン食い付いていて
全く食欲が落ちないからすっかり油断してたよ。
とりあえず、ケビジの産卵箱に乗せてみると、クンクン匂いを嗅ぎまくり・・・
何故か奥に向かって側面を掘り始めた。
ケビジと違って敷いてあるカーペットをホリホリする気配は無い。
段ボールの方が好きなんだろうか?
それならとカーペットを撤去してみてもやっぱり側面をホリホリするばかり。
新聞紙をあてがってみたけどこれも不評。
しょうがない。部屋中を好きなように徘徊させてみる。
「そこは無理でしょ」
「そこも無理でしょ」
部屋の中にはお気に召すような物が無いらしいのでベランダに出してみたけど、
床を掘ったり、隅っこを徘徊して埃まみれになったりで埒が明かない。
「だったら、土はどう?」とプランターに乗せてみると・・・
ホリホリしてるぅ!
ケビジの時は初めて見る土にビビってダメだったけど、ケビタはイケそう!
こうして二人三脚、いや、一亀一人六脚でのお卵コロリンへの長い旅が始まった。