1年前の7月1日、縁あってケビケビが我が家にやって来ました。
前々から動物を飼いたいという想いはあったのですが、
その日は誰かに呼ばれてるような気がして、
突き動かされるような気持ちで、ペットショップに2度足を運びました。
でも、なかなかそれらしき子は見つかりません。
「可愛いのがいるよ」
2度目に行った店先で、ケビ父に促され見に行った先にいたのは
500円玉サイズの3頭のキバラガメ。
より小さな1頭がこちらに近寄ってきて一心不乱に水を掻いています。
「ウチに来る?」と尋ねると、円らな瞳で一層強く四肢を掻き
「行くー!」と言った(ように見えた)のです。
衝撃的な可愛らしさでした。
カメを飼う気は全く無かった我々が、もう、即断です。
もしかしたら、お腹が空いていただけなのかもしれません。
でも、「この子が呼んでたのか」と妙に納得し、
その子ともう1頭仲の良さそうな子を連れて帰りました。
長男のケビタと長女のケビコです。次男のケビジは訳あって少し後で加わります。
生まれた日にちが分からないので、出会った日・我が家に来た日が誕生日、
今日はケビケビの1歳の誕生日です♪
一足先に我が家にやって来たケビタとケビコは元気いっぱい!
環境の変化も何のその、競い合ってエサを食べていました。
でも、1週間ほど経った頃からケビコが時折くしゃみをするようになり、
徐々にエサを食べなくなりました。オエッと吐くようなしぐさも繰り返すように。
急いで動物病院を探し、仕事を休んで連れて行ったものの、
当時まだ甲長3cm、体重9g足らずのおチビさん。
診断は「小さ過ぎて処置が出来ない。環境を改善して暖かくして、
栄養のあるものをあげてみて。後はこの子が持ってる生命力次第。」
ケビコ中心の生活が始まりました。
飼育本を読み、ショップに相談に行き、早起きして日光浴に連れて行き…。
栄養価の高いエサをあれこれ試してみますがどれも殆ど食べません。
病院で教わったように甘エビを小さく刻んであげると何口か食べたり、
温浴した後、少しだけエサを食べた事もありました。
「やった!食べた!もう大丈夫!」
喜びも束の間、翌日にはまた食べなくなり、水槽の中でもほとんど動かず
じっとしている事が多くなりました。
吐くようなしぐさも止まらず、ケビタも時折心配そうに覗きこみます。
9gあった体重は7gに。
甲羅も色艶があせて見た目にも分かるほど痩せていました。
その日、どうにもケビコの容体が気がかりでリビングに布団を敷いて、
水槽のそばで添い寝しました。
時折起きて様子を見ると水の中で寝ています。
「よかった…」
安堵して眠りにつきました。
生きているケビコを見たのはそれが最後。
朝になると、水槽の片隅で動かなくなっていました。
我が家に来てから27日目の事でした。
結局、助けてあげられなかった。苦しいまま逝かせてしまった。
「何かが間違っていたんだろうか?」
「色々やり過ぎて弱った体に追い打ちを掛けたんだろうか?」
「そもそもウチに来なければ命を落とす事は無かったんだろうか?」
後悔の連続です。
今思えばもっと他の手段も採れたかもしれません。
「そうしたらケビコを助けられたんだろうか?」
自問自答してみても答えは出ません。
ケビコは今、可愛らしいカゴに入った鉢植えの中で眠っていて、
中では小さくて可憐な赤い花がいつも綺麗に咲いています。
この世に生を受けてわずか数ヶ月。体力が落ちてからも小さな体で
一生懸命生きようとして、水槽にいたヌマエビを追いかけていました。
一緒に過ごした時間は短くても、かけがえのない楽しい想い出を
たくさん残してくれました。
我々の中では、我が家にはケビタとケビジと共にケビコがいて、
その存在感が消える事はありません。
温浴中のケビコ(左)とケビタ。
甲羅のお手入れ中。
亡くなる前日、大好きな日課の日光浴。
日が当たると気持ち良さそうにいつまでもジーッとしていました。
ありがとう、ケビコ。
ケビタ、ケビジ、1歳の誕生日おめでとう。