カメづくし

ノロマ?カワイイ?ユーモラス? 見れば見るほど面白い。知れば知るほどハマっていく。 キバラガメのケビタとケビジの日常を通して奥深いカメの生態を浮き彫りにし、その魅力を掘り下げるカメブログです。

◆悲しいご報告

自分の中でもまだ現実のこととして受け止め切れず、

なかなか決心がつかなくてブログに書くことを先送りしていましたが、

春になってもワビが登場しないので心配されている方もおられるかと思い、

現状をありのままに報告させて頂くことにしました。

かなりの長文で尚且つ残念ながら良い報告ではありませんが、ご容赦ください。

 

ワビのことは冬眠中も時折様子を見に行ってはいたものの、

冬を越して日中の気温が20℃近くまで上がるようになってもその姿が確認できず

徐々に不安が募っていました。たまたま会えないだけかもしれないとも思ったけど、

この気温で未だに冬眠から目覚めていないのはさすがにおかしい・・・

冬眠中に何かあったのではと心配になって駆り立てられるように水路に行き、

水面を隈なく探しながら歩いていて、転落防止の金網が張ってある辺りに

差し掛かった時でした。水中にも金網が張られた箇所があり、

その下に藻のような塊があるのが目に留まりました。少し距離があり、

水も濁っていてよく見えないけど、何となくカメの甲羅のようにも見え、

角度を変えてもう一度見るとやっぱり藻のように見えました。

 

「違う。ワビじゃない。」

 

そう思って通り過ぎようとした瞬間、ふと胸騒ぎがして引き返して

もう一度目を凝らして見てみると、やはりそれはカメでした。

最初は、無事に再開出来た喜びで胸をなでおろしました。

けれど、何か様子がおかしい。さっきから全く動かない・・・。


身を乗り出して近寄って見て愕然としました。金網の下にいるその子の

体や頭部は藻や白カビのようなもので覆われていたのです。

いくら冬眠で仮死状態とは言っても、これは・・・。

衝撃で呆然としたまましばらくその子を見つめていました。

だけど、ワビにしては甲羅も頭部も大きいし四肢も異様に太いようにも思えました。

 

「もしかしたらこの子はワビじゃなくて、一昨年の冬以来姿を消したガブで

冬眠中に息絶えてしまって、水面に浮かんできたんだろうか?」

 

もしこの子がガブだとしたら、ワビは目覚めてこの水路のどこかにいるかもしれない

とも思って隅々まで探してみたけど、その姿を見つけることは出来ず、

すっかり頭が混乱してしまい、一度帰宅して頭を整理することに。

 

あの子は、大きさ的にはガブのようにも思えるけど、姿を消してから随分経ってるし、

甲羅の形からするとワビの可能性が高い気がしました。

 

「どちらにしても、早くあそこから引き上げて綺麗にしてあげないと。」

 

手を伸ばしても届かない場所だから手繰り寄せるための棒と、

ビニール袋や段ボール箱を用意して再び水路へ向かいました。

現地に到着すると、端の方で水路の清掃作業をしている職員の男性がおられて、

事情を話すと作業を中断し現場に駆け付けて2つの金網を開けて下さいました。

職員さんの話では、夕方また他のスタッフと一緒に確認して、

いつもの動物病院で診てもらい、死んでるかどうか確認してから対応すると。

でも、あの状態で生きている可能性はゼロに近いように思えて、

もしそうならきちんと火葬して弔ってもらえるのか不安でした。

 

どうするべきか悩みながら水面に浮かぶその子を見つめているうちに

色々な感情がこみ上げてきました。この子がガブにしろワビにしろ、

お世話に関わってきた以上それ相応の責任があるし、

何よりもお外にいるけどウチの子と同じようにと愛情を注いできた自負もあります。

 

「亡くなってるとしても最期までこの手でお世話してあげたい。」

 

職員さんのところに引き返し、「もしも生きているなら治療費も負担するし、

亡くなっているなら火葬の費用も負担するので連絡して欲しい」とお願いすると、

職員さんは作業の手を止め少し間をおいて、

「ここにはこの1匹だけじゃなく鯉もたくさんいるので、

我々の側でルールに則って対応する」と。その後もしばらく問答があったけど、

「我々に任せて欲しい」という言葉を信じて最終的には先方に任せようと思い、

「どうかあの子をよろしくお願いします」と伝えてその日は帰宅しました。

 

ワビがいるはずの場所にワビの姿が無くて、そこに亡くなったカメさんがいる。

私が知る限りあそこにいるカメは今はワビしかいない。

冷静に考えればあの子はきっとワビなんだろう。


頭では分かっているけどどうしても信じられず、悪い夢でも見てるような気がして

「もしかしたらワビはあの水路のどこかで元気に泳いでいるかもしれない。」

頭の片隅にそんな思いもあって、4日後にもう一度水路に行ってみることにしました。

そして、あの金網の下に行き着いた時、衝撃的な光景が目に入りました。

あろうことかあの子があの時のまま同じ状態で浮かんでいたのです。

取るものも取りあえずショッピングセンターで必要な資材を買って急いで現場に戻り、

どうにか引き上げて自宅に連れ帰ることが出来ました。

ワビに何か異変があればウチにお迎えするつもりでいたけど、

まさかこんな状態で連れて帰ることになるなんて・・・。

 

ケビケビと同じくらいの大きさと思っていたワビの甲長は20cm以上あり

厚みもケビタ以上で思いのほか大きく感じられました。もしかしたら、

私が思うよりずっと長い年月、ワビはあの場所にいたのかもしれません。

亡骸は昨日、移動火葬の業者さんに依頼して、ワビが暮らしていた水路の近くにある

猫山で荼毘に付してもらいました。

今、お骨は我が家のリビングにあります。

 


顔を見るなり寄って来る愛嬌の良さ。

 

目の前でジーッとゴハンを待つ姿。

 

パンをくわえると鯉に取られまいと大急ぎで泳ぎ去る姿。

 


もうあの愛らしい姿を見ることが出来なくなって、今は喪失感で一杯です。

後悔は山ほどあります。でも、多くの癒しを与えてくれたワビを

こうして弔うことが出来たことがせめてもの救いです。

 

現在、コロナ禍の外出自粛の影響で安易に迎え入れられた多くの動物達が

また安易に手放されている現実があります。

ワビも元々は棄てられてあの水路で暮らしていたと思われます。

儚く尊い命が棄てられることがない社会になることを切に願います。

 

ブログを通してワビを可愛がって下さった皆様、本当にありがとうございました。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

 

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