それは抱卵シーズンに差し掛かったであろう3月下旬のことだった。
陸地で干し干しするでもなく水中でぼんやりしてることが多くなったケビタの水槽を
覗いてみたら、まるでバリケードみたいにぶくぶくを縦にして
水槽の奥の方でボーッとしたまま出てこない。
そう言えば普段の食べっぷりからすると考えられないくらい大人しく食べてるし、
前みたいにそこいらじゅうを齧ったりもしていない。
「もしかしてどこか具合でも悪いん?」
ぶくぶくの向きを直した後、もう1回見に行ってみたらソッコーで元通りになってた。
やっぱり意図的にやってる?
まぁ、少し食欲が落ちてるとは言え、食べるものは食べてるし、
出すものも出してるし、タマゴの製造と甲羅の脱皮が重なって
何となくダルイって感じなのかなぁ。
試しに脱皮シーズンにやると喜ばれる「甲羅カキカキ」をしてみたら、
身を委ねるようにうっとりと目を閉じ、アンヨはピーン!
おぉ、これはもしや喜んでおられる!?
でも、いつもこうしてカキカキしてあげられるワケじゃないし、
ケビジみたいに好きな時にいつでも背中カキカキできるように
急遽ケビタ用の孫の手も作ってみた。
「ケビジとお揃いだよ、よかったね」
このケビタの表情からも窺い知れるように、お気に召していないのは明白で
ケビジのようには使ってくれず即日撤去。ならば、次の一手は・・・
「ジャーン!手動式孫の手だ!」
ケビジにやってみたら、絶妙に喜んでるんだか嫌がってるんだかわからない反応。
その様子を食い入るように見つめながら、かわりばんこの順番を待つケビタ。
ケビタの反応はご覧の通り。
これで少し気持ちが落ち着いたのかは定かじゃないけど、
それからほどなくして今年も産卵シーズンに突入したケビタなのだった。
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